Alexander Mcqueen

Skull Chain Bracelet

スカルに込められた意味を紐解く

Alexander McQUEEN(アレキサンダー マックイーン)からSkull Chain Braceletの紹介だ。

綺麗に半分で太さが異なる幅広チェーンは武骨な印象で、幅狭では繊細な印象を受け見事なバランスが取られている。
代名詞ともいうべきスカルのチャーム付きで、ロブスタークラスプ部分にもスカル彫刻が施され、細部までブランドらしさが表現されている。
パンクやロックの精神を醸し出すAlexander McQUEENの特徴が前面に出たブレスレットで、着こなしの主役にもなるようなデザインだ。

今更出尽くしたスカルモチーフを推してくるのかと思った方も多いだろう。
だが、なぜAlexander McQUEENがここまでスカルに固執するのか、そしてスカルに込められた意味を考察してみるとこのブレスレットが持つ魅力にハッと気づくはずだ。

奥深い闇から生み出される美しさ

まずはAlexander McQUEENについて触れたい。
イギリスのファッションデザイナー、Lee Alexander McQUEEN(リー アレキサンダー マックイーン)により、1992年に設立。
"モード界の反逆児"という呼称で名を馳せた彼だが、型にはまらないデザインと次から次へと発表する独創的なコレクションから、Lady Gaga(レディー ガガ)やBjork(ビョーク)等の前衛的なスタイルを持つアーティストから熱烈な支持を受けた。
幾多の独創的なブランドがあるにもかかわらず、なぜAlexander McQUEENがここまで評価されたのか。
それは類を見ないデザインとクオリティの両立、それに上乗せされた芸術的とも呼べる負のオーラだ。

イギリスの労働者階級の彼は、コンプリヘンシブスクール(日本でいう中等学校)を卒業後、16歳という若さでテーラードの聖地サヴィル ロウの門を叩き、イギリスの伝統的な仕立て技術を習得した。
この経験により、型にはまらないデザインでありつつも、そのベースには仕立て技術の精巧さという類を見ないような服作りが実現できたのであった。

過去のコレクションでは、見事なまでに芸術に昇華された負のオーラが漂い、負の側面をファッションに初めて落とし込んだブランドと言っても過言ではない。
"切り裂きジャック"や"蛆虫が詰まったビスチェ"、"侵攻された祖国のトラウマ"などを表現したコレクションで物議を醸したが、彼はインタビューでこう言い残した。

「他人、そして自分にどう思われてもよい。だから心の奥深い闇から恐ろしいものを引き出し、コレクションに乗せるんだ」

ここまで徹底的ともいえる"闇"というキーワードは恐らく彼自身が労働者階級出身であることが大いに関係しているのではないか。
日本ではあまりピンと来ないが、イギリスは想像以上に階級のしがらみが大きく残っている。
近年の"1945年以来の労働者階級による革命”とも言われるEU離脱が記憶に新しいが、いつの時代でも彼らはアウトサイダーとみなされていた。
労働者階級からの脱却に対する怨恨にも似た想いから、儚くも美しい、それでいて影を落とすような作風が生まれたのではないかと思えてならない。

そういう想いを根底にするデザイナーが"スカル"というモチーフに引き合わされるのはもはや必然のように感じる。
死を連想させるネガティブなイメージを持たれるが、古来より仏教では骸骨は無常、キリスト教では永遠、ユダヤ教では再生などといった非常にポジティブなものの象徴とされてきた。
平等や新しい未来を意味し、古くから魔除けとして用いられてきた。
こうした背景から、彼が自身のブランドの代名詞にしたことは合点がいかないか。
まさに、自身が労働階級から脱却し輝かしい未来を作っていきたいという想いを重ねているように思えないか。
それは決して綺麗な感情ではなく負の側面も持ち合わせたものであるからこそ、ありきたりなスカルモチーフがそれ以上のものになったのではないだろうか。

デザイナーの感情を
想像させる逸品

改めて、このブレスレットを眺めてみるとLee Alexander McQUEENという一人の人間が持つ様々な感情がないまぜになった作品であると感じる。
いわゆるファッションアクセサリーとしてではなく、装飾品が持つ本来の意味合いに沿って選びたいこだわりを持っている方にぜひ着用してほしい1本だ。

Alexander Mcqueen
Skull Chain Bracelet
素材:Metal  生産国:イタリア