BED J.W. FORD

Quilted Zippered Sweatshirt

感性を刺激する一着

BED J.W. FORD(ベッドフォード)のQuilted Zippered Sweatshirtを紹介する。
珍しいキルティング加工のファイユを採用したスウェットで、胸元とサイドに配置された大き目のジップ、各所に配置されたハトメや左肩の錆び加工ボタンが特徴的だ。

キルティングも相まって独特な風合いを醸している生地は白日の下で真価を発揮する。
非常に感性を刺激するアイテムだ。
一目で気に入った方はここで手を止めていただいてもいいと思う。
ここからは、このアイテムに込められた想いを勝手気ままに考察する訝しげな持論にすぎない。

理想主義の裏側にある現実

まずはブランドについて触れていこう。
BED J.W. FORD(ベッドフォード)は2010年に山岸慎平と高坂圭輔により立ち上げられた日本のメンズファッションブランドだ。
2011年春夏シーズンよりスタートした同ブランドは洗練されたデザインと服作りに対する熱い姿勢から、国内外で注目を浴び、2017年にはランウェイデビューを果たしている。
デザイナーの山岸は裏原カルチャーに興味を持ったことをきっかけに、アンドゥムルメステール(Ann Demeulemeester)やドリスヴァンノッテン(Dries Van Noten)、ヨウジヤマモト(Yohji Yamamoto)といったブランドを好んで着ていたようだ。

自ら「エゴ」と定義した2つのワード「Narcissit(ナルシスト)/Romanticist(ロマンチスト)」をキーワードに、“着飾る”をブランドコンセプトとしている。
シーズン問わずまさに感性で作り上げたオリジナリティ溢れるルックが顔を連ね、留まることを知らない快進撃を続けている。

ここであえて物議を醸す表現をさせていただきたい。
特殊な素材や奇をてらったデザイン、各所のギミックや拘っているだろうと言いたげな加工ボタンや金属パーツ。
過剰な表現は安っぽさを生みブランドの価値やデザイナーの想いを浅いものにする。
正直に申し上げると、世間的なブランドバリューによる忖度が苦手な私は、初見でこのアイテムをその類のアイテムだと勘違いした。
その理由は、他メディアで“アヴァンギャルド”だとか“ミニマル”だとか“男性的力強さ”といった表現をされているのをベースに、ナルシストやロマンチストというキーワード、“着飾る”といったブランドコンセプトを表面上で受け取ってしまったからだ。

改めて考察すると、ベッドフォードの本質は無常の中の憎しみにも似た葛藤にあると思う。
ナルシストやロマンチストといった理想主義の裏側にある現実主義を確かに理解した上でなお暗中模索している姿がベッドフォードの深さに通ずる部分である。
“着飾る”ということは、裏を返すと着飾っていない本質を探る行為である。
その本質にあるきれいなものだけを見るのではなく、虫唾が走るような一面に対してもアプローチしているように見える。
“着飾るということは何なのかを模索する”というブランドコンセプトと理解すると個人的に腹落ちする。

デザインの深さに嵌っていく

以上を踏まえて改めてアイテムを見てみよう。
見え方が大きく変わるはずだ。
胸部に備えられたジップは何を意味しているのだろうか。
ノルディック柄のように見えるキルティングをなぜこのスウェットに採用したのだろうか。
肩口のよく見えるボタンに錆び加工を採用した狙いとは?

ベッドフォードのデザインの深さに足を取られ、ずぶずぶと嵌っていく様が想像できる。

BED J.W. FORD
Quilted Zippered Sweatshirt
素材:100% poly  生産国:日本