Y-3

Refined Wool Crop Trousers

ジャンルに縛られない一着

ファッション界とスポーツ界に革新をもたらした「Y-3」から「Refined Wool Crop Trousers」の紹介だ。
ややゆったりしたシルエットに、すっきりしたクロップド丈。
程良い肉厚感のある素材でありながら、動きやすさも兼ね備えている一着だ。
この服をジャンル分けするとしたら何だろうか。
モードでスタイリッシュな雰囲気がありつつ、ストリートのようなリラックスした空気も感じる。
一言でカテゴライズするのは実に難しい。
その要因は「Y-3」を創設した二人のデザイナーのクリエイティブな衝突を紐解くと見えて来るかもしれない。

二人のデザイナーの
クリエイティブな衝突

Y-3は2003年よりYohji Yamamoto(ヨウジ ヤマモト)とAdidas(アディダス)のコラボレーションで始まったブランドである。
Yohji Yamamoto創設者、山本耀司の「スポーツウェアをエレガントでシックなものにしたい」と言う想いが詰まった同ブランドは、モードでありながらハイスペックな機能性も兼ね備えた作品を数多く展開している。
近年ファッション業界にも“スポーツミックス”と言ったスポーツ要素を取り入れる動きが普及しているが、Y-3はその先駆け的ブランドなのだ。

Adidasの中心人物であり、Y-3で山本耀司のパートナー的役割を務めるニック・ギャルウェイ氏はこう語っている。
「我々は常にクリエイティブな衝突を見出し、それによって互いの最高の部分を組み合わせられる。これからもスポーツとスタイルの衝突のもっと奥深くに飛び込み、Y-3にしか出来ないものを創造していくつもりだ」と。この言葉から、ある種の愛憎入り混じる衝突を幾度も繰り返して製品作りに挑む両者の姿が脳裏に浮かんだ。
かつて交わる事がなかったファッションとスポーツ界のトップ同士の本気のぶつかり合いから生まれたブランドの作品が、生半可であるはずがないと私は思う。

枠にとらわれずに
楽しみたい一着

それを踏まえたうえで、改めてこのパンツを見てみよう。
Yohji Yamamotoらしいゆったりとした分量感や重厚感のあるブラックでモードな雰囲気を漂わせているが、素材はストレッチウールとナイロンのミックスによって伸縮性を兼ね備えている。クロップド丈は動きやすさはもちろん、抜け感を演出する事が出来るためリラックス感のあるシルエットを引き締めている。
ウエストには調節可能なバックル留めベルト、左右前後にはポケットが各二つずつ、右前面にはジップ付ポケットも一つ備えている。
ランニングウェアを着用した事がある方ならご同意頂けると思うが、小物を収納しておけるジップ付きポケットはスポーツウェアでは定番の仕様だ。
注目すべきはベルトの先端部分がこのジップポケットのファスナーと連結している点だ。
アクセントのように垂れ下がったベルト紐はモードな雰囲気を演出し、ウエストの絞り具合でその表情を変える。
スポーツウェアの機能性とモードのファッション性。両者のクリエイティブの衝突によって起こった素晴らしい化学反応を、この一着から感じずにはいられない。

スポーツウェアはデザインやカラーの流行よりも、新素材の登場によってトレンドが変化すると言われている。トレンドのスピードが速いファッション業界とはある種一線を画しているのだ。
そう考えると、かつて「トレンドを歩くことはしない」と語っていた山本耀司がスポーツウェアとタッグを組む事になったのも必然だったのかもしれない。

モードでもスポーツでもあり、そのどちらにも縛られない「Y-3」の一着。
枠にとらわれずにファッションを楽しみたい方に、ぜひ一度手に取ってみて欲しい。

Y-3
Refined Wool Crop Trousers
素材:57%ウール / 37% ポリアミド / 6%エラスタン