Maison Margiela

Canvas Tabi High Top Sneakers

知られざる魅力が詰まっている
Margielaの顔

日本の伝統的な"足袋"からインスパイアされたMaison Margiela(メゾン マルジェラ)の名作「Tabiシリーズ」。
そのシリーズから今回はキャンバス地のスニーカーを紹介したい。
スプリットトゥにハイカットで、サイドにシューズライン"22"がプリントされている。
カジュアルからモードまで幅広いスタイルに合いそうなスニーカーで、このシリーズは1989年発表以来Margielaの顔となっている。
発表時はレザーブーツであったが、今では素材やシューズの種類まで広く展開されている。
Margiela好きにとっては目新しさこそ薄れるが、このアイテムには知られざる魅力がまだあるように思うのだ。

再解釈された日本文化

まずはこの「Tabiシリーズ」が生まれた背景はご存じだろうか。
当時、Margielaはコレクションデビューに向けこだわりのシルエットを持つシューズを生み出すことに苦心していた。
そんな中、山本耀司と川久保玲という日本が世界に誇るデザイナーの二人に影響を受けていたMargielaは日本を訪れたという。その際に偶然路上で地下足袋姿の作業員を目の当たりにし、柔らかい足袋にヒールをつけるというアイデアを思い付いたと言われている。
そのアイデアを母国フランスに持ち帰ったのだが、つま先が割れたデザインは当時あまりにも奇抜過ぎたため中々生産を引き受けてくれる職人が見つからなかったという。
日本ですら、今でこそ少しずつ浸透しているが当時のフランスでは白い目を向けられるほど奇抜だったことは想像に難くないように思う。

そして、苦難の末に1989年デビューコレクションとなったショーのエンディングで足袋ブーツを初登場させた。
ブーツの裏を赤い塗料に浸し、それを履いたモデルたちが真っ白なキャットウォークに足袋特有の足跡を赤く刻み込んだ演出はファッション史の中で語り草となっている。
「観客に足袋ブーツの存在を気づかせるために最も効果的なのは足跡だと思ったんだ」とデザイナーは後に語っている。

魅力について言えば、まさに一度見たら忘れられないフォルムではないかと思う。
つま先が2つに分かれているためグリップ力があり足が疲れにくいなど、実用的な側面ももちろんある。
だが、そのようなものを強烈に超えてくるあのフォルムである。

そして、筆者が感じる知られざる魅力とは、忘れ去ってしまった"日本文化への愛"だ。
それも海外からの、ではなく日本人が日本文化に対する愛である。
15世紀までその歴史を遡る足袋だが、おそらくMargielaが再解釈をしなければ、日の目を見ないまま衰退の一途をたどっていたに違いない。
同様に、逆輸入という形で海外からの評価で初めて再評価される日本文化は少なくない。
茶道、禅、浮世絵などもそれにあたるだろう。

Margielaから送られた愛

この1足はMargielaの苦労と日本古来の美意識の結晶のようなものだと思う。
大げさだが、Margielaから送られた、忘れ去られた日本文化への"愛"ともいえるのではないか。
この1足を履いて、是非日本文化の素晴らしさに目を向けてほしい。

Maison Margiela
Canvas Tabi High Top Sneakers
素材:アッパー:キャンバスソール:ラバー   生産国:イタリア