COMME Des GARCONS Homme Plus

Paneled Zip Up Jacket

王者の風格漂う一着

COMME des GARCONS Homme Plus(コム デ ギャルソン オム プリュス)のPaneled Zip Up Jacketの紹介だ。
真っ先に古典的な千鳥格子が目に入り、シンプルなブルゾンか、、、と一瞬思わせて、複雑で大胆なパターンメイキングが顔を覗かせる。
見れば見るほど緻密な縫製技術は王者の風格を漂わせ、タグを見せずともギャルソンの仕事だということを認識させるだろう。

暗闇の中から、創造は生まれる

川久保玲手がけるCOMME des GARCONS Homme Plus(コム デ ギャルソン オム プリュス)は、1984年にスタートした、パリにて最初にショーと展示会を行ったコムデギャルソンのメンズラインである。
PLUSとはフランス語で「最上位」の意味を持ち、コムデギャルソンのハイエンドラインとして長く愛されている。
スーツ、ミリタリージャケット、ブルゾン、シャツといったクラシカルなメンズアイテムに、アヴァンギャルドで斬新なカット、異なるスタイルを融合させることで、メンズ ファッションの新しい形を作り上げている。

彼女が21AWのテーマとして掲げたのは「DARKROOM(暗い部屋)」。
アッパーな音楽とともに繰り広げられたのは、ダークで男性的な世界観。
テーマは、“暗闇を超えなければ光が見つからない”である。

川久保はプレスリリースでこのように説明している。
「クリエイションは、視覚のみならず、六つの感覚すべてが重要な働きをする、暗闇の中にこそ立ち上がるのではないでしょうか。私たちは今、闇に包まれたこの世界で、新しいものを見つけ出さなければなりません。しかし、例えば、暗室の中で像を結ぶ写真のように、創造や発展、進歩も暗闇の中から生まれることができるのです。」
世界的に未曾有の事態となっているコロナ禍で、川久保のクリエイターとしての感性はより研ぎ澄まされたものとなっているように思える。
「この危機をみんなで乗り越えましょう」と言っているのではなく、あくまで優れたクリエイションの中で半ば挑発のように、受け取る側に委ねたメッセージを発信しているように感じる。

あえて流れに逆らう
古典的なジェンダー論

そんなテーマの中でリリースされたこちらのジャケットを改めて見てみよう。
古典的なアイテムの風格は残しつつも、ギャルソンだということが一目で見て取れる。
ありきたりな千鳥格子も川久保の手にかかればオリジナルの柄パターンのように生き生きとし、ジャージ素材を用いているので着心地もよく程よい抜け感が演出されている。

「世界的なパンデミックの中でも、最終系とも思えるほど完成度の高いアイテムを着用すれば、憂いや哀しみを吹き飛ばせそう。」
ファッション好きというものはそういうものだろう、と見透かされているようだ。

余談だが、PLUSは川久保の理想の男性像を追い求めているラインだと一説に言われている。
ジェンダー論が飛び交う現代にあえて言わせてもらうが、PLUSには古典的で男性的な自己欺瞞を感じるのは私だけだろうか。
世界的な混乱期だからこそ、こういった古典的で優れた“男性ファッション“を身に着けるのも悪くない。
あれもあり、これもあり、多様性が叫ばれる昨今、すべての境界線が曖昧で混沌としている。
川久保が差し出す一筋の解を身に纏ってみるのも一興だ。

COMME Des GARCONS Homme Plus
Paneled Zip Up Jacket
素材:100% ポリエステル   生産国:日本