Ganryu

Warm Up Laboratory Trousers

表情を変えて楽しめるデザイン

FUMITO GANRYU(フミト ガンリュウ)から21AWシーズン「Warm Up Laboratory Trousers」を紹介しよう。
21AWシーズンは現代社会に溢れる「必然的多様性」をテーマに掲げ発表された。
「多様性」という本来の意味"-性質の異なる群が幅広く存在する-"を表現するように、今までの枠組みに囚われない様々なテイストが織り込まれている。

まずはアイテムに触れておきたい。
コットン混ツイル生地のリラックスフィットなパンツである。
やや緩めに作られたウエストにはドローコードが施され、好きなサイズ感に調整可能だ。
あえてテーパードをかけずストンと落ちたストレートシルエットで、ブランドが得意とするシルエットを存分に感じることができる。
裾をロールアップしたり、ウエストのサイズ感を変えることで表情を変えて着用することも楽しめるデザインだ。

芯の部分にあるストリート色

デザイナーである丸龍文人は2004年に文化ファッション大学院大学を卒業後、日本の御三家の一つであるコム デ ギャルソン社にパタンナーとして入社をした。
渡辺淳弥の下で、ジュンヤワタナベ・コム デ ギャルソンのパタンナーを担当する。
そして2008年にコム デ ギャルソン社から自身の名(丸龍文人)を冠したブランド「GANRYU」をスタートさせた。
「ポップと前衛とベーシック」をコンセプトの元、新しい形の服を生み出す、というコム デ ギャルソンのスタンスを踏襲しながら丸龍自身のフィルターを通して、リアルクローズの馴染む服を発表していった。
17SSシーズンをもって「GANRYU」のブランドを終了させ、2018年に独立する形で“21世紀に必要な服”というコンセプトの元、ブランド名をフルネームにし「FUMITO GANRYU」を再始動させた。

一度ブランドを終了させ、コム デ ギャルソン社から離れて再始動させた背景を詳細に知る術はないが葛藤や苦悩があったことは想像に難くない。
当時のモード界に「ストリート」のムードはかなり希薄だったため、求められているのは社会におけるニッチなデザインで、「ストリート」というカテゴリーなのではないかと思い至った。
「自分は「ストリート」に影響を受けていて、芯の部分にはあるんですけれども、それをアウトプットするわけではなく、カジュアルウェアを作ろうと思いました。」
これは当時を回想した言葉だが、前身のGANRYUを見るとやはりストリート色の強いカジュアルウェアが多い。
“21世紀に必要な服”をつくりたいという欲求との乖離から独立したというのが、筆者の推測だ。
ブランド立ち上げというワードに対しポジティブな希望に満ちた感情を思い浮かべるが、FUMITO GANRYUにおいて筆者は哀愁にも似た感情を覚える。
それは決してネガティブなものではなく丸龍文人による2つのブランド、両者とも甲乙つけがたいほど素晴らしいブランドという理由からである。

新しいラボで生まれた一本

「Warm Up Laboratory Trousers」という今回紹介したパンツだが、前後のブランドの色がうまく調和されているように思える。
新しいラボで生まれたこの1本はサルエルやワイドパンツはまだ難易度が高いと思われる方にぜひ履いてほしい。

Ganryu
Warm Up Laboratory Trousers
素材:本体:ポリエステル55% / コットン45% 別布:ポリエステル65% / コットン35%
生産国:日本