BED J.W. FORD

Ensemble Tie Shirt

アーティスト同士の共鳴から
生まれた珠玉の作品

異分野のアーティスト同士が共鳴し惹かれ合い、そこから生み出される珠玉の作品は何重奏にも魅力を増す。
今回はそのようなアイテムを紹介したい。

今やコンセプチュアルな東京ブランドとして地位を確立したBED J.W. FORD(ベッドフォード)から、21AWシーズン「Ensemble Tie Shirt」。
BED J.W. FORDでは定番のコットンシルク素材で仕立てられ、シャツの中にジレを重ねたレイヤードデザインである。
さらに首回りにある台襟の延長上にネクタイドッキングが施されている。
フロントをすべて閉めることでミニマルな比翼デザインのノーカラーシャツとしても着用可能で、襟元からネクタイを出したりと様々なアレンジが楽しめる。
ドレスアップからドレスダウンまで幅広く楽しめる1着だ。

自分の美意識に問いかける

ここで簡単にBED J.W. FORDについて、そして21AWシーズンテーマについて触れたい。
BED J.W. FORDは2010年に山岸慎平氏と高坂圭輔氏により立ち上げられ、2011年春夏シーズンよりコレクション発表をスタートさせた。
ブランドが持つ洗練されたデザインとデザイナー山岸氏が持つ服作りに対する熱い姿勢で国内外より注目を浴びていった。
魅力は何か?と問われれば、一言で言うと硬骨な美意識だろう。
「ナルシスト」と「ロマンチスト」をブランドのキーワードに掲げ、“着飾る”をメインコンセプトに、生活の中にある空間や物、そして音や映像から美しさや儚さを汲み取り洋服へ落とし込んでいる。
そこには一切の妥協も見受けられず、拘り抜かれた服作りを展開している。

そんなブランドだが、21AWシーズンは"Memories of My Impromptu Beings"を標語に、浅川マキという一人の女性をフォーカスし作り上げられた。
ジャズやブルースから影響を受けた歌声と黒い衣装から“アンダーグラウンドの女王”と称された彼女だが、デザイナーの山岸氏が幼少期より存在や詩、世界感から多大な影響を受けたという。
実際にどのような活動をしていたかについては割愛させてもらうが、浅川マキという女性は独自の美意識を終生崩さなかったことは有名な話である。
音楽、それ自体に限らず音質やジャケットデザイン、ライナーノーツ、ポスターの配置までにも一貫した美意識をもっていたという。
まさにその美意識こそが、BED J.W. FORDに影響を与えたブランドの核なのではないか。

「時代に合わせて呼吸するつもりはない」と浅川マキは語っていたが、デザイナー山岸氏が述べる「何を着るかではなく、どう着るか」に通ずるものがある。
それはよそものを借りるのではなく、確固たる自分像、自分の美意識はあるのか、と世に一石を投じる怒りにも似た姿勢ではないか。

どう着るかを試される一着

背景を知った上で、改めてこのシャツを薦めたい。
上述の通り、1着のアイテムでありながら非常に幅が広く、着用するほどアイテムが持つ奥行きを思い知らされる。
さらに、ボディにはコットンシルク、ネクタイとジレにはサテン地が使用され、光沢感においても二面性を表現している。
幾重にも選択肢を持たされ、「どう着るか」が最大限に体現されている。
同時に自分の美意識が確立されていないと戸惑いさえするとも言える。
服好きを謳う以上、一度このブランドからの挑戦状とも言うべきシャツに袖を通してほしい。

BED J.W. FORD
Ensemble Tie Shirt
素材:91% Cotton / 9% Silk   生産国:日本