Maison Margiela

Wool Trousers

歴史の導き手を務めるブランド

歴史の導き手のような役目を務めるブランドがある。
Maison Margiela(メゾン マルジェラ)だ。
今回はMaison Margielaから1本のスラックスを紹介したい。

センタープレスがかけられたストレートシルエットにハイウエスト、そしてウエスト調整可能なシンチがフロントに2箇所施されている。
コットン混ウール素材で厚めのツイル生地で高級感溢れる素材感だ。
ここまで一見、メゾンブランドが作っているただの上質なスラックスパンツではないかと思われるだろう。
ここで一度冒頭で"歴史の導き手"と称した理由を説明したい。

間接的に再解釈を体験

近年、謎に包まれた天才デザイナーに迫ったドキュメンタリー映画が公開され、ファッション好きで知らない人はもはやいないだろう。
そのため、Maison Margielaについての細かい歴史は割愛させてもらうが、このブランドを語るに外せないキーワードに"再解釈"というものがある。
文字通り、既にあるものを再び解釈するという意味だがMaison Margielaにおいて、レプリカシリーズ(実際に軍や漁師などが着用していた物を掘り起こし、再解釈という命を与え蘇らせたシリーズ)や過去の古着からインスパイアされてエッセンスを引き継ぐことを指している。

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古着やヴィンテージが昨今のブームの一つになっているが、服自体が持つ起源やディティールの発祥に触れられることも魅力のように感じる。
そして、古着としてではなく間接的にそのような体験をMaison Margielaは提供してくれるのだ。
現在用いられなくなったディティールや、足袋のような日常的に見向きもされなくなったようなアイテムを再解釈して提供することで受け手は好奇心を持って歴史に触れる。
Maison Margielaのアイテムを手に取り、「このアイテムの原型、元ネタはなんだろうか。」と調べた経験はないだろうか。
まさに服好きにとって、服の歴史や原点に触れることはこれ以上ない喜びである。
"歴史の導き手"と称した理由がここにある。

フロントに施されたシンチ

改めて、今回紹介するアイテムにどのような"再解釈"があるのか見ていきたい。
門の左右に鎮座する守衛さながらデザインとしても完結しているが、フロントに施されたシンチの発祥をご存じだろうか。
正しくはシンチ"バック"と呼ばれ、フィット技術が未熟だった時代にウエスト調節のためにベルト代わりに考案されたディティールである。
ジーンズだけでなくスラックスなどボトムス全般に付けられていたが、1940年代中頃から徐々に廃止されていったという。
今でこそ形骸化されているが、デザインとして残されたものの多くがバックに施されているのが一般的である。
それをMaison Margielaは再解釈し、フロントに施しデザインにまで落とし込んでいるのである。
更にベルト代わりに考案されたこのディティールの上にベルトループを加えて、2重にデザインに落とし込んでいる。
まさにギミックの宝庫のようなアイテムだ。

Maison Margielaには名作が多いが、このように一見普通に見えて普通じゃないアイテムは多く存在する。
既にMaison Margielaを持っている方、持っていない方、両方に薦めることのできる珍しい1本だ。

Maison Margiela
Wool Trousers
素材:ボディ:46%ウール / 38%コットン / 8%アクリル / 8%ポリエステル ライニング:100%コットン
生産国:イタリア