HELMUT LANG

Hooded Sweatshirt

ミニマリズムの旗手が
手がけたパーカー

「ミニマリズムの旗手」 Helmut Lang(ヘルムートラング)から一つのパーカーを紹介しよう。
ヘルムートラングは今でこそ定番スタイルとなったミニマルの先駆であり、90年代ファッションを語る上で必ずと言っていいほど話題に上がるブランドだ。
ファッション業界の人間やファッションアイコンたちから熱い支持を得ている一方で、人気はかつてより下火となってきたとも囁かれている。
だからこそ、あえて紹介したいのがこのパーカーだ。
このパーカーを紹介する上で、まずはヘルムートラングの歴史を知って欲しい。

独学で構築された世界観

ヘルムートラングはオーストリア・ウィーンにその生を受ける。
幼少期に母親の死別によりウィーンの街を離れたが、10歳の時に彼は再びウィーンへ戻る機会を得た。
そして自身の生まれた街で自分のアトリエを設立したのが1976年、彼が24歳のころのことだ。
余談となるが、驚くべきことにそれまで彼はファッションデザインを学んでいない。
ファッション界の寵児たちである「エディ・スリマン」や「ラフ・シモンズ」と同様、独学がために構築された独自の世界観とでも言うべきだろう。
その後1986年にパリでコレクションを発表し、自身の名を冠したブランド「ヘルムートラング」が誕生した。

ヘルムートラングは無彩色でベーシックなウェアを主軸として、鋭利なカットで仕上げたミニマルなスタイルを築き上げながら、時折ミリタリーやワークのテイストを加え、新素材も積極的に取り入れた精緻なファッションを世界に放った。
当時世界はモードこそ正義の時代であったが、「ヨウジヤマモト」や「コムデギャルソン」と共に、既存のファッションを覆す“旗手”となったのだった。
90年代後半だけで9つの賞に選ばれた彼の活躍は、90年代のファッションを語る上では欠かせないと言えるものだが、ファッションシーンを先駆したブランド「ヘルムートラング」には、 幸か不幸か、その後大きな転機が訪れることとなる。

世界の人々の心に刻まれている
偉大なる遺産

1999年。誰もが知るブランドである「プラダ」に買収され、ヘルムートラングはその傘下となった。
2004年にはまだ残っていた株も全てプラダが取得し、完全な子会社化されたのだった。
その翌年、自身の名を冠したブランドをプラダに残し、創設者であるヘルムートラングはクリエイティブディレクターを辞任。
その後モードとミニマルな世界観は偉大なる遺産として、今なお世界の人々の心に深く刻まれているものの、ブランド「ヘルムートラング」はこの時に彼のみが持ち得たオリジナルの視点、洗練さを失ったと、長らく取り沙汰されることとなる。

自身の世界観への渇望と現在への反旗

順風満帆とは言いづらいヘルムートラングの歴史を踏まえた上で、このパーカーを見て欲しい。
創設者ヘルムートラングによるウェアはオークションで高値のつく品となり、最早入手困難なものとなってしまったが、このパーカーからは近年にはない創設者ヘルムートラングの世界感を感じないだろうか。
前面が立体的で無駄を削ぎ落としたデザインであるのに反して、背面ではバックル付きベルトによるミリタリーテイストのラインで美麗なシルエットを際立たせている。
近年鮮やかな色使いも目立つようになってきたヘルムートラングの中で、ひと際存在感を放つパーカーなのである。
モードにミリタリーを独自の解釈で加え、余計な装飾を絶った、 澄み渡るようなヘルムートラングの世界観への渇望。
そしてブランド「ヘルムートラング」を批判してきた人々への足掻き。
即ち、ブランドが置かれている現在への“反旗”と言えるのがこのパーカーと思えてならない。 ブランド「ヘルムートラング」の想いを抱えた一着、是非背負ってみて欲しい。

HELMUT LANG
Hooded Sweatshirt メンズパーカー
素材:100% Cotton カラー:ブラック