DRESSEDUNDRESSED

服を着る、服を脱ぐ

DRESSEDUNDRESSED(ドレスドアンドレスド)は デザイナー北澤武志が手がけるブランドだ。
"DRESSEDUNDRESSED"とは「服を着る、服を脱ぐ」という意味。
"ボーダーレス"をコンセプトに掲げ、クラシックとモダン、繊細さと大胆さ、マスキュリンとフェミニンなどの二元性の結合を探求している。
ミニマルなテーラードを軸にしたジェンダーレスなコレクションが魅力だ。

DESIGNER

デザイナーの北澤氏は、元々セレクトショップでディレクター兼バイヤーであった。
Martin Margielaが自身のつくった服を買ってくれたことがデザイナーを目指す一つのきっかけとなったと語る。
2009年、DRESSEDUNDRESSEDを設立。
同年の春夏コレクションでデビューした。
2013年には、若き日のカール・ラガーフェルドとイヴ・サンローランを発掘したことで知られる権威ある国際ファッションコンテスト「インターナショナル・ウールマーク・プライズ(International Woolmark Prize)」のファイナリストとして世界の6ブランドの1つに選出。
同年DHLアワードを受賞している。

独学で学んだと言われるハイレベルなテーラリングの技術とストリートのユーモアの融合で、世界でも注目を浴びるブランドだ。

右脳へアプローチする哲学

DRESSEDUNDRESSEDの最大の魅力は、デザイナーの北澤氏の哲学だと思う。
さらに言うと、自身の哲学を精密に服に落とし込む表現力だ。
北澤氏の第一印象は、メディアから窺えるものとは少し異なり快活で懐が深い印象を受けた。
発表される作品から感じる空気感とのギャップに驚いたのを覚えている。
だが対話を重ね、彼の哲学の一端を理解するうちに、作品とのギャップが埋まっていくのを感じた。

初めて見る方は“二元性の結合”というとよくあるコンセプトではないか?と勘ぐってしまうと思うが、発表されるコレクションを見ると彼の本気度がよく伝わる。
説明不要、デザインを通じて“二元性の結合”が見事に表現されている。

PHILOSOPHY

神学における“善悪”や“男女”といった単純化された二元論者の言葉は論理的に聞こえ、人に響くものだ。
二元性に言及したもっとも古い文献である旧約聖書に始まり、紀元前より二元論で多くの物事は語られている。
二元論は人の心を掴みやすいからこそ、二元論の否定となると理解できる者が少ないのが現状だ。
ニーチェやデカルトなど著名な哲学者もこぞって二元性についてアプローチを試みているが、現在でもはっきりとした答えは出ていない。

だが、思想の表現はなにも言葉だけではない。
時にはアートや音楽を通して、右脳へ訴えかけることも方法論の一つだ。
北澤氏はファッションを通じて右脳へアプローチすることが抜群に優れていると感じた。
コレクションを通じて、えも言われぬ想いを感じるのは私だけではないだろう。
二元性の境界を曖昧にするだけではない、芯の通ったメッセージを感じる。

余談だが、彼はかなり高度な論理的思考力のある人間のように思える。
自身の思想を言語化するのはたやすいベースを持つ人間がファッションという表現方法でアプローチすることによって独自性がさらに際立っているように感じた。

着心地と個性の両立

そんなDRESSEDUNDRESSEDの服は、テーラードを軸としたシンプルながらもメッセージ性が強いアイテムが多く、根強いファンがいることで知られる。
近年はジェンダーレスの文脈から、若い世代にも注目を浴びているブランドだ。

テーラードの技術をベースにした緻密なパターンに心地よいポイントでひねりを加えられているのが特徴だ。
そのため、着心地や動きやすさがきちんと押さえられているにもかかわらず、個性の出せるコーディネートが可能である。生地にもかなりの拘りを持っており、無粋な話だが「この価格でこの生地感が味わえるのか。」と驚くほどである。

時には全身手縫いで装飾したり全身に鏡を配置したりと、アートピースのような挑戦的なデザインも作っており、メディアで語られる印象よりもっと幅広い層に受け入れられるブランドであるように思える。

“二元性の結合”と聞くと難しい思想に思えるかもしれないが、袖を通してわかることがある。
その表現が抜群に上手いので、難しく考えずに「気に入った」という直観だけで十分だと思う。
DRESSEDUNDRESSEDはワードローブのメインに一着は持っておきたいブランドとしてお勧めする。